インパクト投資とは、ということについては、前回少し長くなりましたが、詳細にお伝えしました。
今回は、実際にどういった投資が行われているのか、ご紹介しようと思います。
Hermes Impact Opportunities
Hermes Impact Opportunitiesは、上場株式ファンドです。ファンド規模は、2億7630万米ドル(2019年12月現在)で、社会的課題に革新的解決策の提供によって社会·環境面にポジティブなインパクトをもたらしうる企業への投資を行い、長期的なリターンを目指すとしています。
インパクトの種類を、9テーマに分類しています。カッコ内の数字は、2019年12月現在でのエクスポージャー比率を示しています。水(5.2%)、食料安全(2.1%)、健康·ウェルビーイング(23.6%)、教育(3.4%)、フィナンシャル·インクルージョン(2.6%)、モビリティ(7.1%)、インパクト·イネイブラー(27.2%)、エネルギー移行(10.9%)、サーキュラーエコノミー(5.7%))、残り12.3%は上記9テーマに直接関係しないもの、となっています。
テーマごとにIRISを用いて、投資先企業ごとにKPIを設定していて、これらはすべて投資家に開示されています。
各企業に設定されるKPI
例えば、モビリティ部門ではフランスのValeo社(電気自動車の部品メーカー) に投資しており、この企業に設定されているKPIは、Inputの部では、研究開発への支出(3億1530万ドル)、 Outputの部では、受注における革新的製品の割合(53%)、売上における二酸化炭素削減に寄与する製品の割合(50%)、となっています。
このようなKPIを達成すれば、おのずと社会に良い影響が与えられるような仕組みになっていることが、おわかりいただけたと思います。
Grassroots Renewable Energy Platform
Grassroots Renewable Energy Platformは、オーストラリアの再エネ開発企業 CWP Renewables社との独占的取引で、同国内に再生可能エネルギーを活用した大規模エネルギープラットフォームを構築するプロジェクトです。2016年にパートナーズ·グループが行ったSapphire風力発電所開発プロジェクト(総出力270MW)への投資に続き、新たな風力·太陽光·蓄電池の開発(総出力1.3GW)をオーストラリア全土で行い、同国最大の独立系発電事業者になることを目指しています。
Shared-X LLC
Shared-X社は、高収量の農産物や有機農産物を生産しています。可能であればプレミアム価格で直販も行っています。
同社は、1,000人以上の小規模自営農と共有して連携するというビジネスモデルをとっており、小規模自営農に商業ベースで農業やマーケティング面の利益をもたらしています。その結果、小規模自営農の大幅な所得向上につながったと評価されています。平均所得は、従来の2~7倍増加した、という結果となっています。
拡大するインパクト投資の必要性と意義
社会的·環境的な課題が多様化する現在の世界では、従来のESG投資では対象から漏れてしまう企業が出てきました。例えば、社会的起業家によるスタートアップは、ガバナンス面での取り組みがどうしても遅れがちで、そうなると、ESG投資の対象からは漏れてしまいます。
しかし、スタートアップであっても、社会的·環境的課題を解決する製品·サービスを提供しようとするものであれば、インパクト投資においては投資対象になり得るのです。
そういった意味で、ESG投資では対象外となる企業の成長可能性を理解·評価するインパクト投資が重要視されるようになりました。
インパクト投資が手軽にできる商品のご紹介に弊社も注力しています。
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