こんにちは、日本ウェルスマネジメントのリチャードです。
6月11日、市場予想を上回る良好な米雇用統計等の影響を受け、1ドル157円前半となりました。
前回の記事でも円安を取り上げましたが、円安傾向はまだまだ続きそうです。
旅行時の一つの楽しみ、ホテルの朝食が、30ドルだったとして、1ドル110円だったときにアメリカに旅行した場合、ホテルの朝食が3,300円だったのに、今は4,710円。
米国ドルだけではありません。円は英国ポンドに対しても非常に弱くなっています。現在、1ポンドは約200円。混雑する時間帯によって料金を分けているロンドンの地下鉄の初乗り料金は、オフピークの一番安い値段で一区画2.7ポンドです。日本円にすると540円。東京の地下鉄、東京メトロの初乗り料金が180円ですから、これでは、旅行に行こうという気分は失せてしまいますよね。
前回は、ポートフォリオの見直しの重要性と、不動産投資についてお話しました。
今回は、原点に戻って、円安だと何がよくないのか、何か良いことはないのか、ということをお話ししたいと思います。
そもそも「為替」とは何だろう?
「円」を外国の通貨に換える際の交換比率が為替相場です。円やドルなどすべての通貨間の交換比率は、需要と供給の関係で決まり、需給関係が変動すれば為替相場は変動します。
円と米国ドルの関係でいえば、円を米国ドルに換える需要より、米国ドルを円に換える需要が多ければ、円が買われて、米国ドルが売られます。円の需要が高くなると、「円高」が進行します。
この逆のケースが、「円安」です。つまり、現在は、米国ドルを円に換えるよりも、円を米国ドルに換える需要が高くなっているということになります。
円高のメリットとは?
円高のメリットは、国際的な円の購買力が高くなることでしょう。同じ1万円で、より多くのモノが買える、ということですね。
また、外国製品を安く買うことができ、そういった輸入品を通じて、国内の物価を引き下げる効果が期待できます。
債券や株式の価値がお仕上がり、海外の投資資金が流入しやすくなります。
円高のデメリットは、日本からの輸出製品が値上がりし、日本製品の国際競争力が低下することでしょう。輸出大国の日本にとってはあまり好ましくないといわれるのはこのためです。
外貨建ての資産が目減りします。(これについては、いつもリスク分散のため、複数の通貨で資産を持っておきましょうという私のアドバイスを聞いていれば問題ありませんね)
円安のメリット·デメリットは、円高のメリット·デメリットの逆です。
円安のメリットは、外貨建ての資産価値が高まり、輸出製品の海外での価格が下がって輸出産業は好調になります。
円安のデメリットは外国製品が高くなり、債券や株式の価格が下がり、海外へ投資資金が流出します。
円安が続くと何がよくないのか
2022年にも、円安が進行しました。
このときは、新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界的に物流が滞る事態が続きました。
製造業を中心に、生産活動に必要な物資が十分に調達できず、生産活動を著しく抑える、または停止するほかなかった企業が相次ぎました。
円安が進行すれば、通常は海外の物資を安く手に入れることができるメリットが見込めるにもかかわらず、物資が不足していたために、生産量を増加させることができず、輸出量も拡大させることができませんでした。
世界各国が行った厳しい入国規制。日本も同様で、外国人の入国は非常に厳しく制限されました。それにより、インバウンド需要は急激に低下しました。
他方、このとき、輸入価格の上昇という円安のマイナスの影響が見られたのも事実です。
現在の円安は、コロナ禍のときの状況とは違います。今はもうすでに経済活動は正常化しています。
しかし、円安の進行によって、消費者物価が高くなっています。要は、物価が上がっているということですが、これが続くと、消費マインドが低下して、消費の低迷を引き起こします。
これが危険なんですね。
すでに日本は高インフレの傾向にあります。そこに円安による物価上昇が加わることで、消費者マインドが悪化し、個人消費が抑制される。そうすると、実体経済への悪影響が大きくなる可能性があります。
円安はいつまで続くのか
この円安はいつまで続くのでしょうか。これは、世の中みんなの関心ごとではないでしょうか。
円安·円高の要因は、世界中の様々な要因が複雑に関係するため、何かがこうなれば、円安になるともいえませんし、何かがこうなると円高になる、ということも言えません。
もちろん、アメリカの経済や物価動向、日米の協調といったアメリカでの要因は大きな影響を起こします。
金融政策の方向性などもそうですね。
世界中の投資家の動向にも留意する必要があります。投機的な材料ももちろん影響を及ぼします。
このところ、円は、円安·ドル高傾向で推移しています。
この傾向を踏まえれば、米利下げ開始が本格的に視野に入る段階までは、おそらくこの円安は続くでしょう。
もし、米国での利下げが開始されても、円安傾向が変わらないのであれば、本格的な円安トレンドが定着した、ということなのかもしれません。
この円安傾向が、短期的である程度サイクルを持つものなのか、長期的で構造的なものなのか。当分こういった点に注意して動向を分析していきたいと思っています。
いかがでしたか?
円安の今こそ、リスク分散のポートフォリオを一緒に考えてみませんか。お気軽にお問い合わせくださいね。