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高い・無駄・複雑はもう古いインシュアテックで保険はこう変わる!

保険は万が一の時に備えるものですよね。もちろん今までもこれからも基本はそうです。しかし、時代の変化がもたらした新しいリスクに備える必要性や、個人に合わせた保険料設定といったニーズが高まる一方で、近年は「QOL(※)(生活の質)の向上」のために加入する保険が急速に拡大しつつあります。こういった背景から、より多くの人が保険に加入できるよう、新しいニーズに応える新しい保険商品が次々と生まれ、それにより顧客層も変化したことで保険セールスにも大きな変化が起こっています。日本では保険のセールスといえば、セールスレディなどのイメージがあるのではないでしょうか。保険セールスでの販売は対面が主でしたが、近年ではインターネットを使ったオンラインによる非対面型のセールスが急速に増加しています。 イノベーションによって変わるリスク イノベーション=技術革新は、世界に大きな変化をもたらしています。保険業界にとっても同様です。例えば、画像認識技術やセンシング、AIの発展により、自動車業界にはASV技術の進化や自動運転技術が目覚ましく発展しています。こういった技術により、自動車事故が起こるリスクは減っていくことが予想されます。医療分野では、遺伝子解析が手に届く価格で実施できるようになったり、医療データの解析、遠隔医療、予防医療といった技術により、病気になるリスクが減っていくことが期待されています。こういったイノベーションにより保険もそのリスクをどう捉え、どのような保険商品を開発していくべきなのかを考えなければなりません。 インシュアテックとは この保険業界の変化を後押しするものとして注目されているインシュアテックは、ビッグデータや人工知能といった最新のテクノロジーを用いた金融サービス(FinTech)の保険分野(InsurTech)のことで、保険分野におけるフィンテックを指します。AIやIoTといった最新技術を用いて、企業の業務効率化や収益化を図ったり、新しい保険商品を開発したりしていて、フィンテックを巡る10大トレンドとも言われています。このインシュアテックを用いて、多くの企業が新しいビジネスを展開し、保険分野に改革をもたらしています。 保険業界を脅かすインシュアテック 保険業界のバリューチェーンを脅かすインシュアテックとして、例えば見積比較サイト、サイバー保険、バリュー比較サイト、テレマティクス保険、シェアリングエコノミー保険、Peer toPeer(P2P)保険といったものがあげられます。 こういった新しい勢力により、オンライン商品販売業者やテクノロジー企業が保険の販売チャネルとして出現し、保険業界は、他業種に顧客を奪われていく傾向が強くなっていきます。すると、オンライン業者が保険会社と顧客の距離を遠ざけることになるため、保険会社へのロイヤリティが減少することや、 既存の販売チャネルにおけるブランド力や代理店のパワーといった優位性の変化が予想されています。個人保険や中小規模の保険会社の収益は縮小していくのではないでしょうか。 インシュアテックで変わる3つのこと ① オーダーメイドで無駄な保険料を省く個々の顧客に合わせたオーダーメイドの保険商品の提供が可能となり、保険料の適正化が期待されています。今までも、非喫煙者や優良ドライバーに対して保険料を軽減する「リスク区分型」の保険がありました。IoTの浸透によりデータ収集が容易になったことで、これを大きく進化させ、例えばスマートウォッチを活用して集めた顧客の各種健康データを元に、一定の数値をクリアしている顧客の保険料を安くすることができます。自動車に取り付けられた端末から走行距離や運転速度・ブレーキのかけ方といった運転情報が保険会社に直接送られ、その情報と運転者の事故リスクを分析して保険料を算定するといった保険も生まれています。② 保険手続がラクに今後は従来の対面式から、スマートフォンやパソコンによるコミュニケーションへ変わるでしょう。書面でのやりとりが必要だった保険金請求手続き、損害調査や現地調査などはIT技術を活用した効率的な運用へと既に移行しつつあります。③ 保険審査の効率化申込内容だけでなく様々な条件を加味しなければならない保険審査は、保険会社にとって重要であるものの、非常に手間と時間のかかる業務です。インシュアテックを導入すると、AIにより短時間で正確に審査を行えるようになるだけでなく、人間のミスや主観を排除して正確に審査を行えるようになることで、審査に通らず保険に加入できなかった人でも保険に加入できるようになるともいわれています。これに加えて、テレマティクスという技術により、保険のサービスはライフスタイルのほぼあらゆるシーンに繋がっていくこともあげられます。これについては、また別の機会に大人気連載「投資家に問うしかない」で紹介したいと思っています。 インシュアテックはもともとイギリスで生まれ、欧米では既に注目を浴びていますが、日本ではまだまだというところです。弊社では、インシュアテックを活用した最新の保険をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。※ QOL:Quality of Life

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いま見直される金融教育

お金に困らない一生を送るために子供に教えるべきこと 私たちにとって、お金は生きていく上で必要なものです。ところが、日本ではお金の話をすることを何かのタブーのように避ける風習があるように感じます。あまり「お金の教育」に対して積極的ではありませんでした。しかし最近は金融庁自らが、子供の金融リテラシーのページを開設し、子供が学ぶべきことを紹介するなど、金融教育の重要性が見直されています。弊社では、バンコクで初となるキッズマネースクールを開講するなど、子供へのお金の教育を積極的に支援しています。DACOの人気連載「投資家に問うしかない」でも、子供の金融教育について何度かご紹介してきました。 欧米と比べて資産形成が苦手な日本人 欧米では、子供にお金の話をすることは当たり前のことで、資産運用や資産形成について子供が学ぶことが重視されています。そのせいか、日本人は株式や投資信託を持つよりも、貯金に回すという人が圧倒的に多い傾向にあります。未だに投資は怖いものだとか、詐欺のようなものだと思っている人も多いのではないでしょうか。貯金はある程度は必要ですが、必要以上に持つことにはなんのメリットもないどころか、むしろデメリットばかりです。銀行に貯金としてお金を預けていても、もしくはタンス預金で持っていても、金利はほとんどゼロに等しい。(タンス預金なら確実にゼロ)他方、多くの人が身をもって実感していると思いますが、日本でもタイでも、近年物価の上昇が急速に進んでいます。インフレ率に負けないように資産運用をしていかなければ、あなたの預金の価値はどんどん目減りしていきます。 高校では金融リテラシーの学習が必修に 022年4月からは、高校で金融リテラシーを学ぶことが必修とされました。高等学校学習指導要領には、「家計管理については、収支バランスの重要性とともにリスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする。その際、生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金/住宅取得/老後の備えの他にも,事故や病気,失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ、預貯金/民間保険/株式/債券/投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリットデメリット)資産形成の視点にも触れるようにする。」と記載されています。高校生が今後学校で、投資信託や積立投資といった金融商品や資産形成について学ぶことになります。きちんとした金融知識をもとに、自分の収入を上手に運用することが、これからの時代には必要です。小学生や中学生のお子さんでも、やがて投資に興味を持つ可能性があります。お金にまつわることは、とりかえしのつかない失敗を避けることが大切。今後は家庭でも子どもにマネー教育を行うのが一般的になっていくことでしょう。 年齢別に必要なお金の知識とは 政府は、年齢別に必要なお金の知識を以下のように定義しています。 小学生 貯蓄の意義を理解できること。おこづかい帳をつけることができること。 中学生  家計の収入支出を理解できること。勤労の実感ができること。 高校生  長期的な資金管理・資産運用・金融商品の基礎知識を身に着けること。 大学生以降 金融商品のリスクとリターン、ライフプランと収入と支出、金融商品の仕組みや特性を理解することができること。 子供には、楽しく学んでほしい ...

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日本のインフレについて真剣に考えるときが来た

歴史的なインフレ率 日本のコア・インフレ率は今年12月に41年ぶりの高水準に達しました。他方、日本銀行は、1月18日、金利の据え置きを決定しました。この日銀の金融政策は、正しい決断といえるのでしょうか。 日本では、インフレ率は、ヘッドライン・インフレ率(生鮮食品を除く)とコア・インフレ率(生鮮食品を除く)の双方が前年同月比4.0%増となり、9ヶ月連続で日銀の目標値である2%を上回りました。 この物価の値上がりの理由は、大方エネルギー価格の高騰が原因と思われます。エネルギー価格は前年同月比15.2%増となっています。エネルギーと生鮮食品を除いたコア・インフレ率は前年同月比3.0%増と、1991年8月以来の高い上昇率を記録しました。 モノとサービスのインフレ率に違い 注意深く分析をしてみると、面白いことがわかりました。モノのインフレ率と、サービスのインフレ率に大きな差があるのです。モノは前年比7.1%、サービスは同0.8%となっていました。これは、モノのインフレ率にはエネルギーの価格高騰が影響しているということを意味しています。 もしくは、現在の通貨インフレの高騰が、供給サイドを大きく反映しているということかもしれません。現在のモノのインフレ率の急上昇は、主に供給サイドの事情を反映しているということも考えられます。 実は、日銀もこの見解を持っているように思います。最近の報道では、日本銀行は、インフレ率は短期的に比較的高くなると予想しているようです。輸入品の物価上昇に伴うコスト増が消費者物価に転嫁されるため、短期的にはインフレ率が比較的高くなるはずだと考えている、ということです。 日本銀行の金融政策がもたらすもの 金融政策が供給サイドに直接与える影響は通常、限定的です。そうであれば、日銀が緩和的な政策を維持することは正しい、もしくは理にかなったものだと思われます。しかし、日銀の黒田総裁は、1月18日、「日銀はかなり速いペースで賃金が上昇すると予想しており、これはインフレ基調にとって重要な進展と考えている」というような趣旨の、比較的タカ派的な発言をしたことが気になるところです。これにより、消費者の購買力を押し上げ、需要主導のインフレが起こる可能性はあります。そうすると、日銀が利上げを開始する可能性もあるでしょう。 日本は歴史から学ばなければならない 1989年を振り返ってみましょう。当時、1989年、日銀は大幅な金融引き締めを行いました。翌年、当時の日銀総裁、衛藤靖が行った冒頭演説から、現在の日本の経済状況との類似点を見ることができるような気がします。 衛藤総裁は、輸入コストの上昇、円安、賃金の上昇を理由に利上げが必要だと判断しました。注目すべきは、この時期と賃金上昇率です。黒田総裁が必要な利上げペースと指摘したのは、3%超の賃金上昇率を維持した時期でした。 1989年当時から現在までで、唯一欠落している要素は賃金の上昇です。最新のデータでは、12ヶ月間の平均賃金は前年同期比2.45%増。賃金上昇は、4月1日の日本の会計年度開始前後ペースアップすることが予想されています。2022年に見られた勢いを継続し、金融政策正常化の扉を開くことができるのでしょうか。 金融引き締めはまだ最終的な結論ではありません。1989年に日銀が利上げを開始したとき、日銀は、「失われた10年」と呼ばれる10年に及ぶ経済停滞と物価デフレに直面していました。今もこれに似たような、非常に難しい状況にあることは間違いありません。 ...

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若い投資家を惹きつけるために「クリエイティブになる」

私たちファイナンシャルアドバイザーの間では、次世代の投資家を獲得するために、ビジネスモデルを変える必要があるとの認識のもと、切磋琢磨を重ねています。独立系コンサルティングファームAKGが行った調査でも、このトレンドが明らかになりました。AKGが取りまとめた報告書「NextGen or LostGen? 新しい投資家獲得戦略の必要性」によると 、91%のファイナンシャルアドバイザーが、異なる年齢層やセグメントのクライアントに対応 するために、新しいテクノロジーを活用しながら、異なるタイプのサービスや手数料モデルを 創出する必要性を認識していることがわかりました。 また、ファイナンシャルアドバイザーの約半数(50%)が、ここ近年の生活費の危機を、変化の最大の障壁として挙げていますが、49%はコスト・マージンが自社に与える影響を指摘しています。さらに、新規クライアント獲得に関する重要な課題として、規制(47%)、新規クライアントに対応するための新しいサービスや料金モデルの開発(47%)、新規顧客の収益化に必要な期間(41%)が挙げられています。 変化するファイナンシャルアドバイザーの役割とターゲット 従来、(もちろん、ファイナンシャルアドバイザー個々のポリシーによって異なりますが)一般的なファイナンシャルアドバイザーのターゲットといいますか、クライアント層は、家族持ちの成人が主なターゲットでした。他方、現在は、ビジネスオーナー、医師や軍隊などの専門家、若い家族、既存クライアントの配偶者やパートナーなど、新しいクライアント層がターゲットとして加わりつつあります。 AKGのコミュニケーション・ディレクターであるマット・ウォードは、次のように述べています。「既存クライアントへのサービス提供に重点を置いている企業もあるかもしれませんが、長期的には、クライアント基盤やビジネス価値を将来にわたって維持する必要性を認識している企業は、新規クライアント獲得戦略の必要性を認識しているはずです。」 とはいうものの、これは必ずしも容易なことではなく、現在、生活費危機におけるクライアントの資力や、アドバイス会社が直面しているコストや規制の問題があるため、新規クライアントの獲得はさらに難しくなっていると言えます。より広い家族単位との関係構築による地道な努力が重要な役割を果たす一方で、企業は次世代のクライアントに対するターゲティング、獲得、サービス戦略においてクリエイティブである必要があります。そのためには、コストとプロセスの効率化を図るためのデジタル/テクノロジーによるサポートが必然的に必要となりますが、同時に、将来のクライアントの要望をより深く理解する必要があります。 物事は変わるし、変わらなければならない 一方、回答者の16%がデジタル・サービシングの能力・機能を開発する必要があると感じていることもわかりました。また、35%はよりトランザクション的なサービスやフィーモデルを追加する必要があるとし、14%はファミリー層を惹きつける課金モデル(次世代クライアントへの一部無料サービスの提供など)を追加する必要があると考えており、、26%はデジタルサービシングと新しい課金モデルの両方を開発する必要があると付け加えています。AKGはまた、どのようなタイプのテクノロジー・パートナーやソリューションが、企業内で必要とされるクライアント・サービスのコスト効率を高めることができるかを見極めようとしていることも明らかにしています。 調査対象のアドバイザーたちは、顧客関係管理システム(51%)、バックオフィスシステムプロバイダー(46%)、オープンバンキング/金融アプリ(44%)、顧客ポータル/サービスアプリ(42%)、そしてある程度はプラットフォームオペレーター(32%)に役割を期待していることからわかるように、テクノロジーに寄せる期待は非常に大きいものがあります。しかし、多くの企業は、このような最新かつ革新的なテクノロジーを採用する機会に恵まれていませんし、今後の方針を決定するための役割を担っていないのが現状です。また、多くの企業は、そのような状況にあることを認識しておらず、また、そのような状況を打開するための役割を担っていません。テクノロジーを活用して日常業務をこなし、アドバイス・プロセスのフロントエンドをサポートすることで、サービスを提供するためのコストや手作業を減らし、ユーザーと顧客の双方の体験を向上させること、アドバイザーの貴重なサービスを低下させることなく、能力を高め、運用コストを削減し、顧客の将来の期待に応える機会を創出することが目指すべき将来像とされています。 ...

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イスラム投資に飢える中東の若者たち

サッカーワールドカップが盛り上がっていますね。カタールで開催されているわけですが、今、中東の若い投資家は、イスラム投資やサステナブル投資など、自分の価値観に合った投資を求める傾向があり、投資方針を共有する資産運用の投資先を探す傾向があるのです。 このあるグローバル・ウェルスマネジメント会社が、300人の富裕層(うち200人は40歳未満)を対象に調査を行ったところ、91%がすでにイスラム投資をポートフォリオに組み込んでおり、88%が持続可能な資産への配分を増やすつもりだと回答したとの結果が出ています。 また、回答者の約73%がネットゼロ経済への移行を推進するベンチャー企業を通じて、より良いリターンを得られると考えており、74%が地域のサステナブルなセクターで新しいビジネスチャンスが見つかると考えていることがわかりました。 グローバルな感覚を持ち合わせた若いイスラム教徒の投資とは イスラム教の原則の遵守も重要な分野です。回答者の85%は、宗教的・文化的原則に基づく中東の伝統的価値観をいまだ持っているものの、そのうち31%は、それらの伝統的価値観は、現代の価値観やライフスタイルなどに適合するよう、ある意味アップデートされていると回答しています。他方、年配の投資家の79%は、自分たちの価値観はもっぱら伝統的なものであると答えています。この結果から、中東の若者は、保守的な年配層とは大きくことなり、グローバルな感覚を身に着けていることがわかります。 また、若年層と高齢層の投資家の、資産運用の目的にも相違が見られました。若い投資家は、ライフスタイルの向上と富の維持を重視しているのに対し、40歳以上の高齢の投資家(45%対16%)は、経済的な遺産と評判に関心があるようです。この調査では、若い回答者の投資対象が、地理的に拡大していることも明らかになりました。若手富裕層の約89%が中東に資産を保有し、今後5年間は中東に資産を維持する意向であり、残りの11%はヨーロッパ(5%)、北米(4%)、アジア太平洋(2%)に資産を維持しています。 サステナブル投資は世界的な風潮 中東の投資家に関する2022年の最新調査結果では、いくつかの分野で高齢者と若い投資家の間にコンセンサスが生まれていることが明らかになりました。特に、価値観に基づく投資についてです。次世代を担う若者たちが、イスラム投資やサステナブル投資に熱意を持って取り組んでいること、また、価値観を共有するファイナンシャル・アドバイザーと協力しながら投資を進めていくという取り組みは、この地球の将来を思うと非常に心強いものです。また、地域別投資にも熱心で、中東がより大きな富を維持・蓄積するための大きな機会を提供していることも、非常に良い動向です。 人気連載「投資家に問うしかない!」でも、サステナブル投資やインパクト投資を紹介してきました。このような投資は、日本でもやはり若年層に人気のようです。 若年層ももちろん、我々ももっと地球に優しい投資を行っていかねばなりません。弊社の無料セミナーに是非お越しいただき、サステナブル投資、学んでみませんか。

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金融ガイダンス改革、アドバイス部門の「文化的変化」に拍車をかける

アドバイスとガイダンス。何がどう違うのかといわれると、説明に困りませんか。どちらでもいいじゃないかと思うかもしれませんが、ファイナンシャルアドバイザーにとっては、重要なところです。我々は、ファイナンシャルアドバイスを提供することにおいて、ライセンスが必要だったりするのですが、アドバイスは提供してもよいが、ガイダンスはダメとか、色々な細か法律の決まりがあったりします。今回発表されたイギリス議会の財務委員会の修正案は、今まで曖昧だったアドバイスとガイダンスのあいまいな境界線を明確にしようとするものです。 財務省委員会のハリエット・ボールドウィン委員長は、「個人金融ガイダンス」を法制化する金融サービス・市場法案への修正案を提出しました。この改正は、貯蓄者や投資家に対して、それぞれの状況に応じたガイダンスを提供するシステムを構築するものです。また、特定の商品や行動を勧めない限り、これは「規制されたアドバイス」とみなされるため、アドバイス会社の保護もこの改正の一部となるものと思われます。 個人向け金融ガイダンスとは ボールドウィンの修正案は、「個人向け金融ガイダンス」を次のようなサービスと定義しています。 ● 投資家または潜在的投資家としての資格で、あるいは投資家または潜在的投資家の代理人 としての資格で、人に行われるもの。 ● 証券、仕組預金、関連投資である特定の投資の購入、売却、引受け、交換、償還、保有、 引受け、または、当該投資により付与された当該投資の購入、売却、引受け、交換、償還の権 利を行使するかしないかを推奨するものであり、かつその人の状況を考慮したものであり、そ の人に適しているものとして明示的に提示されていないこと。 実質的な改善とは 誰もが個人の状況に応じて規制されたファイナンシャルアドバイスを受けることができるというのは理想なのです、様々な理由により、実際これはほぼ不可能です。したがって、政府、規制当局、業界は、できるだけ多くの人々が貯蓄や投資を最大限に活用できるよう、どのように支援するかという課題をずっと持っています。この改正が成立すれば、今まで適切な助言を受けることができなかった貯蓄者に、適切な情報やガイダンスを届けるための方法が大幅に改善される可能性があります。 現状では、ガイダンスの終了点とアドバイスの開始点が不明確であるため、雇用主、政府機関、金融サービス会社など、ファイナンシャルアドバイスなしで貯蓄者や投資家と関わる人々は、コミュニケーションを取るのに慎重にならざるを得ないときがしばしばあります。特に、個人的な事情に配慮する必要がある場合などは、私も非常にセンシティブになります。 適切なファイナンシャルアドバイスを全ての人に届けたい 私たちのようなプロのファイナンシャルアドバイザーが全ての人に付くことができれば、人々の投資、貯蓄といった資産運用はもっと効率的で安全なものになります。しかし、実際には、ファイナンシャルアドバイザーを雇う余裕がないなどの理由で、十分な知識がないままに、自己流の投資を行い、被らなくてもよい損を被っている人がたくさんいます。 ...

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日本の積立NISA、非課税枠を無期限へ?

日本政府は、2023年度の税制改正で、株式や投資信託の運用益を非課税にする「NISA」(少額投資非課税制度)について、積み立て型の場合の非課税期間(現在20年に設定)を無期限とする検討に入った、との報道がありました。現在年40万円となっている投資上限額を引き上げる案もあるそうです。NISAはもともと、個人の「貯蓄から投資へ」の流れを促し、資産運用の拡大を後押しする施策として誕生しました。タンス預金が未だ根強い日本では、ある意味革新的な施策だったのではないかと思いますが、若年層を中心に広く受け入れられていて、最近ではNISA口座が急増しています。 NISAをおさらい いまさら聞けない!NISAってなんだっけ NISAとは、投資を行う際の少額投資非課税制度という税制優遇のこと。要は、節税できる!ということです。NISAの前にまず、「投資」とは、利益を見込んで事業などにお金を出すこと。株式や投資信託などを買い、ある程度の期間保有することで、配当金を受け取ります。または売却(譲渡)して、購入時からもし値上がりしていれば、その値上がり分を利益として得て、資産を増やしていくわけです。銀行に預金して寝かせておいても、利子は限りなくゼロに近い今、預金よりも資産を増やせる可能性があるため、子どものための教育費や自分の老後資金など、将来に必要なお金を備えるために活用している人もいます。 NISAを使うと節税ができることが大きなメリット NISAは、正式な名前は少額投資非課税制度といいます。簡単にいうと、投資に関する税の優遇制度=節税制度で、NISAはそのニックネームみたいなものです。通常、日本では、投資で得た収益(配当金・分配金や譲渡による利益)に対して20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すると一定額までの投資で得た利益を一定期間(現行のNISAの場合は、5年間)のうち、非課税で受け取ることができるのです。つまり、投資で得た利益がまるまる自分のものになるんですね。 なぜだかわからない、NISAの非課税適用期間 先ほどさらっと書いたように、NISAの非課税適用期間は期限付き。一般NISAの場合は最長5年間なので、2021年に購入した金融商品の利益は2025年まで非課税で受け取ることができます。また5年間、限度額まで商品を購入すれば、最大600万円分の金融商品をもつことができます。そして非課税期間が終わる際、なにもしなければ自動的に課税口座に移されます。しかし、手続きをすれば満期の金融商品を翌年以降の非課税枠に移す(ロールオーバー)ことができ、非課税期間をさらに5年間延長できます。なぜ期限をつけたのか、さっぱり理由がわからないところですが、今回、この期限設定をなくし、無期限にする、という検討がなされているんですね。当然といえば当然の方向性だと思います。 NISAよりも魅力的な海外投資 タイ在住の日本人は、NISAを使わなくても非課税のメリットを受けることができます。人気連載「投資家に問うしかない!」でも何度か紹介していますが、海外に住んでいる今しかできない投資を、是非初めていただきたいと思います。弊社では、家計のやりくりの話、タイでのお得な情報、教育費や老後資金の作り方など、様々な「おかね」に関する無料相談を行っています。お子様にはキッズマネースクールをおすすめしています。バンコク初となるキッズマネースクールは、お子様にお金の大切さを学んでいただきます。子供たち、そしてママにも大人気のまさえ先生と楽しくおかねの勉強をしましょう。

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FRB危機は将来の不況を防ぐためのヒントに

アメリカ中央銀行は過去に大きな過ちを犯したことをご存じですか。その結果、様々な改善策が講じられました。まさに今、もう一度大きな改善を検討するべきです。 連邦準備制度理事会は、インフレをコントロールするためのペナルティを失ってしまい、結果として、非常に高い確率で不況に陥るリスクがあります。最も憂うべきことは、次に本当に厳しい不況が起こったときに、FRBがそれに対抗するために必要な能力を持ち合わせておらず、看過するしかないという残念な組織になってしまったことです。 FRBは、この二重の苦によって、信頼を完全に失う危険性があります。中央銀行が9%にも達するインフレを許しながら、雇用の保護にも失敗するなら、一体中央銀行は何をしているのか、何の役に立つのかと思う国民が急増するのも無理はありません。 1930年代と1970年代にFRBは混乱し、それが経済の崩壊を招きました。これらの事件は、強力な中央銀行が存在しなければ、米国経済は時に深刻な打撃を受けることを示しています。 他方、楽観的な理由もあります。1世紀以上前の設立以来、FRB は、頻繁に間違った判 断を下し、時には悲惨な事態を招きながらも、同時に、そこから学び、新しいパラダイ ムに適応していく構造を造り上げてきました。FRBは次に大きな不況が来る前に、も う一度大きな変化を遂げるべきです。 FRBは世界を救うために何をしなければならないのか 第一に、FRBは、インフレを抑制し、その結果生じる経済収縮を抑制するための方策を打ち出さなければなりません。次に、米国経済がバランスを取り戻せば、大きな危機は起こりにくくなるため、そのバランスを確保するべきです。例えば大きな危機が起こったとしても深刻な事態にはならないよう、議会や財務省との間で計画を立てることが大切です。インフレとの戦いは、ある意味個人競技のようなもので、次の大不況を食い止めるのは至難の業ですが、それでも私はFRBに期待するところはあるのです。 FRBのインフレ指標である個人消費支出価格指数(PCE)は、6月には7%前後で推移しています。これは中央銀行が設定した目標値2%の3倍以上。食料品からガソリンに至るまで、あらゆるものの価格が過去12カ月間に驚くべき速さで上昇しているため、米国の平均的な家庭は2022年に5,200ドル以上のインフレ税を支払うという事態となっています。 成長が停滞しているため、ストレスが増大しています。FRBは景気を下降させることなくインフレを下げ、有名な「ソフトランディング」を実現したいと考えています。しかし、インフレマインドを定着させ、不釣り合いな給与や物価の上昇が自己実現的な予言となることは何としても阻止しなければいけません。これは、スタグフレーションは、より破壊的なシナリオなのです。 FRBの歴史を振り返ってみて学ぶこと FRB ...

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教えてリチャード インフレでは投資商品に何が起こるのか

インフレ、特にスタグフレーションになると、投資は難しくなります。スタグフレーションは、インフレ率が高いのに、成長率が低い場合または成長率がマイナスである場合に起こります。 インフレ下では投資マーケットに何が起こるのか インフレの状況下では、現金や債券の利率はインフレ率より低くなることが多いので、投資対象としては不利である。債券は、将来にある一定の金額を支払うという約束であるため、インフレが起こっているときは、お金の価値が下がっていく、すなわち、債券と引換えに受け取るお金の価値が下がる、というロジックになります。 では、株式投資はどうでしょうか。株式は頻繁にパフォーマンスがアップダウンします。通貨の購買力が比較的一定であれば、企業は将来の計画を立てたり、長期契約を結んだりすることができますが、通貨の購買力が不安定な場合、企業は将来の投資計画を立てることが難しくなります。物価が上がればコストも増えますが、増えるコスト以上に収入が増えるのかどうか、予測することは難しく、また、債券金利が上昇すると、評価の高い株はバリュエーション圧力にさらされるなど、不確定要素が多い状態では、将来の収益とコストを予測することが非常に難しくなります。 将来の収益とコストが予測できない状況においては、企業は収入に基づいていくら投資することができるのか、という企業戦略にとって基本的なことが判断しかねます。不動産はどうなるかというと、一般的に不動産は株式や債券をアウトパフォームしますので、特に固定金利の住宅ローンが紐付いている場合は、その傾向が強くなります。固定金利の住宅ローン(借金)はインフレで消えていきますが、不動産価格(資産)はインフレで時間とともに上昇するのが普通です。ただし、これはバリュエーションにも依存するもので、インフレ調整という意味では、不動産価格はしばらく変わらないかもしれません。 スタグフレーションを引き起こす一因、コモディティ 銅や石油など、一般的にコモディティと呼ばれる産業用品目は、インフレの状況下では活発な動きを見せることが多かったりもします。高インフレは商品価格の上昇を意味するからです。インフレ下では商品供給が不足しがちで、十分な供給がなされるまで何年もかかることが多く、これが実体経済の発展を妨げ、スタグフレーションを引き起こすことになるのです。また、コモディティにとって有利な状況であっても、商品の変動は激しく、急落することもあり、これについてはどんな動きを見せるのか予測することは非常に、非常に難しいと言わざるを得ません。 コモディティ同様に、金やビットコインなど、貨幣に類した投資商品も、最終的にはインフレと相関していきますが、必ずしも高インフレの時期に、インフレ率と同じような動きを見せるとは限りません。経済成長が緩やかでもインフレ率が高いときはスタグフレーションの環境にあり、特に金は好調に推移する傾向があります。また、株式とは対照的に、明らかに不況やデフレが進行している状況でも、しばしばよいパフォーマンスを見せることが多々あります。 それでは、インフレ状況下では資産はどんな動きを見せるのでしょうか。 金融インフレと供給能力の不足 インフレという概念には、明確な定義がありません。経済学のどの学派に従うか、といったところに行きついてしまいますが、定義がないので、不確定要素も多いと言えます。 貨幣の量そのものが増加することを貨幣的インフレといい、貨幣単位の数が様々な資源(商品、サプライチェーンの能力、供給可能な労働力など)よりも速く増加している場合、多くの品目の価格が上昇する傾向があります。実際の製品やサービスに対する需要と供給のバランス取れていないことがその原因のひとつです。 他方、ある品目の設備投資サイクルは、その品目が供給過剰なのか供給不足なのかを判断する良い判断材料になる可能性があります。地域的あるいは世界的なサプライチェーンに対しても同じことが言えます。その結果、世界の石油生産設備の半分と海運港の半分を破壊する一方で、貨幣単位数が同じであれば、残りの石油生産と海運能力に対する価格は大きく上昇することになります。 経済学者が物価上昇率を測定する方法は、なかなか難しく、彼らは商品とサービスの加重バスケットを作り、そのバスケットの価格がどのように変動するかを予測します。そして、その計算をヘドニック調整などを使って随時更新していくので、結果として、政府等が正式に発表する物価上昇率は低くなることがしばしばあるのです。 テクノロジーが引き起こすインフレ ...

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人気連載「投資家に問うしかない」のリチャードが教えるインフレ

「投資家に問うしかない」でお馴染みのリチャードです。リセッションの可能性がすぐそこに迫っていて、インフレの圧壊はまだ米国全体で感じられるが、多くの投資家は、現時点では米国株と債券に慎重であることが賢明かもしれません。 米連邦準備制度理事会(FRB)は、景気後退を招くことなく利上げによるインフレ抑制に取り組んでいます。ソフトランディングを実現する能力はあるはずなのですが、2020年11月以来、株式市場からは誤って疑いの目で見られています。1970年以来最悪の6カ月間の年初来高値に続き、S&P500は週間で4.3%、7月では9.1%上昇し、これに対処できなかったと見られているからです。 米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利上げペースが緩やかになる可能性を示唆し、今週は株高が爆発的に進みました。2022年の中央銀行の目標金利は、今週の75bpを含め、これまでに合計2.25%ポイント上乗せされました。債券価格も上昇し、10年債金利は2.65%で週を終え、6月に達したピーク時の3.47%を下回る水準となったのです。 今後に期待すること 世界最大のヘッジファンドの中には、FRBがバランスシートを縮小して市場に流入し、インフレ抑制のためにさらなる金利引き上げを余儀なくされるため、暗い見通しを持ち、債券価格の下落を予測するところもあります。 私の個人的な見解では、今後6カ月から9カ月以内に、米国のGDPはマイナス2%からマイナス3%になると予想しています。米国経済の低迷は、他の通貨がドルに対して強くなることが予想されるため、投資家にチャンスを与えるかもしれません。 ロシアとウクライナの紛争がもたらしたエネルギー問題に対処するため、ヨーロッパは厳しい冬を迎えることが予想されますが、個人的には、個人投資家の方々は、ユーロ建ての株式については少し慎重になった方がいいかもしれないと思っています。今年に入ってから、ユーロはドルに対して10%近く値下がりしていますから。 暗い話ばかりになりがちですが、通貨安の地域を旅行できれば楽しいですね。コロナ禍がまだ続いていますが、早く自由に旅行できる世の中が戻ってきてほしいものです。 リチャード・ケイン アジア・ウェルス・グループ・ホールディングス、マイヤー・グループ、マイヤー・アセット・マネジメント、マイヤー・インターナショナル・リミテッドのCEO。 数十年にわたって資産運用計画に従事。カナダのケベック州モントリオールで生まれ、その後、日本の東京に15年以上滞在し、現在はタイのバンコク在住。マイヤーグループを経営し、ロンドン、英国証券取引所上場金融ホールディングスのアジアウェルスグループホールディングスの高信頼性CEO、およびマイヤーグループ会社のマネージングディレクターを務める一方、富裕層の後継者育成を専門に行う複数の組織のマネージングディレクターを歴任。 ポートフォリオ、債券、投資信託、オフショア投資、老後のための投資など、あらゆる分野で世界中の顧客と関わってきたマイヤー・インターナショナルは、正しい方法で投資し、現金を保護するお手伝いをします。25年以上にわたってアジアでの資産管理計画ソリューションと資産運用に携わるファイナンシャルアドバイザーであり、日本の東京に住んでいた時には、多くの日本の富裕層の家族が革新的な国際税務と資産管理計画ソリューションを作り出せるように支援しました。 「投資家に問うしかない」DACOに人気連載中